my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

湯宿温泉 湯治の旅

2023/1/31から2/2かけて群馬県の湯宿温泉まで湯治の旅に行ってきたので、その記録をここに記す。

 

前書き

年末年始が一年で最も忙しい仕事を始めてもうそれなりになるアタクシ。それに伴い、1~2月あたりに温泉でのんびりするのがここ数年のルーティンになっている。去年は鬼怒川温泉に行ってみたのだが、なんかこう今一つだったので、今年はどうしようかな〜なんてかなり思案していたのであります。

 

条件的には

 

① 冬だから寒いところがいい。できれば雪が見たい。

理解できますでしょうかこの感覚。寒い冬はあえてより寒いところへ行きたいのです。そしてちらちらの雪の降る中で露天風呂に入りたいのです。

 

② あまり遠くないところがいい。

ぶっちゃけ新幹線に乗ってしまえば青森だって秋田だってそう遠い所ではないという感覚になるのだけれど、イメージ的にはもう少し近い所がいいんだよなあ。

 

③ 部屋にWiFi

これ、未だに難しかったりするのですよ。温泉旅館だとWiFiは「ロビー付近でお使い頂けます」なんて所もまだまだ多い印象。まあデジタルデトックスという観点ではそっちの方がアリだったりするのかも。だがアタクシにとっては部屋でごろごろしながら映画を観たりしたいので、それなりに安定したWiFi環境は必須なのであります。


④安い

これは言わずもがな。アタクシのような貧乏人には最重要。だいたいお金を出せばそりゃ良いに決まってるでしょうよ。でもね、そういう事じゃないんです。アタクシは工夫がしたいのです(負け惜しみ)


こんな感じの条件でヒマがあれば色々と探していたのだけれど、これが意外とハマるところがない。で、参考に見ていたブログ「山と温泉のきろく」で見つけたのが今回訪問した湯宿温泉の大滝屋旅館。

 

www.yamaonsen.com

yujuku-onsen.com

 

全6室の小さな温泉旅館でWiFiも部屋で十分使える速度が出るみたい。公共交通機関でアクセスもできるし、水上の近くだから雪もありそう。 Googleマップで周囲を確認したら特に観光地でもなく、ただ単に部屋でぼんやり過ごしたいだけの自分にはぴったりっぽい。

 

と言うワケで今年は大滝屋族館に二泊三日でお世話になることに決定したのであります。


Day1

自宅を何時に出発するかでかなり悩んだのだが、結局9:00前に出発。このくらいに出れば、現地にチェックイン開始時間である15:00の少し前に到着すると、そういう予定。開始時間ぴったりにチェックインすれば最大限に宿を楽しめるハズ、という貧乏性が発揮されています。

 

東京駅に着いたらまず駅弁屋で今日のお供を物色。店は平日にも関わらず随分な混雑。イイヨイイヨー。みんな、旅って最高だよね〜という気分。

 

結局駅弁は「やまゆりポーク味噌焼き弁当」にしてみた。大変美味しゅうございました。

 

東京駅から高崎線でまずは高崎まで、もちろんグリーン車利用。やはり旅はクロスシートに限る。 宿には上毛高原駅からでもアプローチできるんだけど、今回は敢えて新幹線ではなく在来線各駅停車で。急ぐ旅でもあるじゃなし。のんびり、と言うか長く移動を楽しみたいのさ。

 

車内でプチ鹿島「ヤラセと情熱」を読み始める。PKさんがこの件を追っかけてるのは結構前から知っていたけど、ついに待望の書籍化。大変めでたい。内容は序盤からして滅法面白い。大宮を過ぎた辺りからの北関東っぽい景色をちょいちょい眺めつつ読み進める。もうこの時点で旅情ガンあがり。やはり旅はいい。

 

 


高崎で上越線の水上行に乗り換え、ドアが押しボタン式になり、さらに旅情ポイントがブチ上がる。地元の方々にとっては日常なんだろうけど、こういうのがイイんです、我々漂泊の民にとっては。

 

高崎を出発した直後くらいに自分へ座っていた周りにどうやら撮り鉄っぱい集団がやってきた。こういうホモソーシャルな集団を久しぶりに見て、自分も若い頃は周囲からこんな感じに見えていたのかなあとか、そんなことを考える。とにかくみんな楽しそう。そして少し浮世離れしてるヴァイブス。最近は撮り鉄というと風当たりも強そうだけど、社会と上手く折り合いながら楽しんで欲しいとか思っちゃうワイはもう自他共に認める初老男性だ。

 

沼田駅で下車。一つ先の後閑駅で降りた方が宿には近いんだけど、バスの待ち時間的にここで降りた方が良さそうということで。がしかし、思った以上に駅前には何もなく、後閑駅に行っても大した違いはなかったっぽい。

 

小一時間程ヒマな時間が出来たので、駅前から河岸段丘の急坂を登り沼田城の跡に行ってみる。今は建造物は何も残っておらず公園になっているらしい。公園のあちらこちらにイケメンキャラの立て看があるのでよく見たらゲームのキャラらしい。沼田のお殿様も未来に銀髪のイケメンになっているとは夢にも思うまいて。

 

散歩から再び駅前に戻り、関越交通のバスに乗り湯宿温泉へと向かう。乗ったバスは、窓ガラスが汚れていて「嗚呼、今アタクシは雪国に来ているのだな」と感慨に耽ける。と言いつつも外の景色は多少雪は残るものの道はキレイでちょっと拍子抜け。先週に10年に一度の寒波が来ていたハズなんだが。

 

結局、バスで目的地で一つ先のバス停まで行き、そこから散歩がてら歩いて宿を目指す。やはり北側の斜面には雪がかなり残っていて雪国感があるものの、全体的には割と普通。遠くに見える谷川岳は真っ白だったが、これだけ離れると違うものだなあ。

 

宿に到着してさらっとチェックイン。こじんまりしているが中は清潔でキレイ。部屋もトイレも申し分なし。これは当たりなのでは? 早速浴衣に着がえて風呂に行ってみる。こちらも広さはそれ程でもないが清潔で最高。これはいい感じで過ごせそうだと独り小踊りする。

 

部屋のWiFiも速度は充分。テレビにFire TV Stickをセットして動作をチェック。問題なし。空いているコンセントも近くにあるし、冷蔵庫も使用可能。いやー最高ですよ。まずは担いで来た缶ビール6本パックを冷蔵庫に入れ、テレビを見ながらダラダラする。ワイにとっての癒しとはこういうことなんやと独りごちる。

 


18:00に夕食。食事は部屋ではなく食堂で取るスタイル。内線に呼ばれて食堂に行ってみると、用意されているのはアタクシの分だけ。ここで本日の客がアタクシ一人だということを知る。 oh! 貸切!イェー!いや、お客さんが沢山いた方が宿の経営的にいいことなのは百も承知なのだけれど、それでもなおテンションが爆上がりせざるを得ない。どうですかこの貧乏臭さ。

 

夕食はザ☆旅館の夕飯と言った趣き。まあ美味くないワケがない。テンション上がりついでに、普段ほとんど飲まない日本酒を追加オーダーしてしまい、ちびちびと一合瓶を傾ける。

 

小一時間食事を楽しみ、部屋に戻ってテレビでドラマを観たり、ゴロゴロとぼんやり過ごす。こういうことがしたくてここに来たのだよ、というワケで大満足。お腹が落ち着いて来たら再び温泉に入り、部屋で缶ビールプシュー。柿の種をボリボリ食べ、ドラマの続きを観る。鳴呼、幸せナリ。

 

なんだかんだで明日も朝が早いので 0:00前に就寝


Day2

6:30起床。朝食は7:30からなのでその前にひとっ風呂浴びてくる。部屋は暖かいが、さすがに廊下は寒く、急いで移動して温泉に浸る。同志諸君、朝からこんな贅沢があるかね?

 

部屋に戻り普段は観ないテレビのニュースなどを観つつ、内線の連絡が来たので朝食会場へ。朝食もいわゆる ザ☆旅館の朝食。これこれ!こういうのがイイんだよ!と独りごちる。普段はトーストとコーヒーなのに、今日は満腹になるまで色々と食らう。

 

で、ここからが完全フリーの一日。やはり温泉は二泊三日からがデフォである。一泊二日だとここで帰らにゃならんもんね。このなーんもしないでいい一日こそが最大の贅沢であると声を大にして言いたい。年末年始にカスカスになるまで働いたご褒美である。こういう山やら谷やらが無いと人生やってられんわな。もちろん人生ずっと凪がいいという人も居るんだろうけど、残念ながらアタクシにはそうする経済力も甲斐性も無いものですから、いいのですコレで。

 

この贅沢時間、アタクシが何をするかと言うと、毎年恒例でロマンティックコメディ映画を観るのです。こういう時間には爆発も流血も、まして高尚なメッセージ性などいらんのです。エライ人はそれが分からんのですよ。こういう時はポジティブなメッセージとハッピーなヴァイブス。それさえあればもう十分なのです。

 

今年は「ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト」と「天下無敵のジェシカ・ジェームズ」の2本を鑑賞。両作品ともweb版のUOMOに連載されている「ジェーン・スー高橋芳朗 愛と教養のラブコメ講座」に取り上げられていて気になっていたもの。どちらも素晴らしかったなあ。

www.webuomo.jp

www.webuomo.jp

「ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト」は主演の二人 マッケンジー・デイヴィスとクリステン・スチュワートがすごく好きなので、二人の色んな姿が拝めるだけでも満足なのに、その上お話も現代的かつ普辺的と言うか、色んな人に刺さる射程の長い作品だと思う。ラブコメと侮る事勿れ。そこを超えて多くの人に観て欲しいと思わずにはいられないのであります。

 

映画を観終えたところで昼過ぎになったので、散歩がてら外出。まずは昼飯が食べられそうな所を探す。と言いつつも事前のリサーチでそもそも旅館の周囲に店らしい店がなく(コンビニなど車移動じゃないと、とてもじゃないが無理な距離の場所にしかない) 一軒だけそば・うどんを出す店があるといった状況。ふらふら散歩してからその店に行きうどんを頂く。

 

 

その後、食後の運動を兼ねて更に散歩。

 

 

それなりに歩くと道の駅があるので、そこのカフェで一服なんてこと考えていたのだけれど、そこにある店舗がほぼ休み!おそらく週末以外は営業していないっぽい。一応Googleマップで見ると営業してそうなんだけど、実際行ってみると真っ暗みたいな店舗がほとんど。しょうがないのでベンチで缶コーヒーを飲み、営業していたスーパー兼お土産屋みたいな店で地元産のフルーツを使ったジャムを購入。スゴスゴと撤退する。

 

宿に戻り温泉→飲酒→映画のループ再び。午後は「エノーラ・ホームズの事件事2」を観る。一作目も面白かったが、二作目も間違いない出来。現代的フェミニズムヴィクトリア朝の奇跡的マリアージュ。モリアーティが登場したり、ラストにはアフガン帰りのお医者の先生も顔を出すので続編に期待せずにはいられない。ホントお願いしますよ!

 

 

二日目の夕食も大変美味しゅうございました。この日からもう一組ご夫婦らしきお客様の姿があったので、貸切状態は終了。もちろんこの方がいいのだ。こんな素晴らしいお宿、コロナで廃業なんて悲し過ぎる。

 

夕食後も温泉→飲酒のループ、加えて映画ではなくドラマを観まくる。NHKの「大奥」と「探偵ロマンス」の二作品の最新回を観賞 どちらもしっかりお金を掛けた画作りで、アタクシの払った受信料も無駄ではない、とそれだけで満足度高し。特に「探偵ロマンス」の美術の作り込みは異常。それなりに広そうなオープンセットも雰囲気あるし、印象的な地下水道っぽい場所、あれは一体どこなんだろう。元々ある場所でのロケだと思うんだけど。

 

そんなこんなで夜も更け、昨日同様 0:00前には就寝


Day3

6:30起床。昨日と同じく早朝からひとっ風呂キメる 昨日の夜からチラチラと雪が降っていたようだが積もる気配は無し。雪の降るいい雰囲気だけを楽しませて頂く。

 

7:30から朝食。味付けのりなんてこういう所以外で食べたことないなあなんてことをぼんやり考えつつ、満腹になるまで美味しいご飯を頂く。

 

チェックアウトが10:00で、帰りに乗るバスが10:13発なので時間ギリギリまで部屋でゆっくりさせてもらう。食後にコーヒーが飲めれば最高なんだけど、そういう用意は無いので宿の自販機の缶コーヒーで済ます。コレはコレで良し。

 

時間が来たのでチェックアウト。本当にいい時間が過ごせたので大感謝。何もしたくない時が来たらまた訪れたい素晴らしいお宿でした。

 

 

路線バスで後関駅へ。駅前のコンビニで軽食を買い、上越線に乗って高崎まで。高崎での乗り換え時間が2分くらいしかなかったので残念ながら駅弁を買えず。無念。だるま弁当食べたかった…

 

帰りも行きと同じくグリーン車に乗車。プチ鹿島「ヤラセと情熱」の続きを読み耽る。そういえば今回の旅、Switchも持って来てたんだけど、結局ゲームは一度もやらなかったなあ。

 

そんなこんなで東京着。今回も大変楽しい旅となりました。想定以上に宿の周りに店が無いという状況も、静かな環境に身を置くということのトレードオフなので個人的には問題無し。またカスカスに疲れ果てた時にはお世話になりに来ようと固く誓うアタクシでありました。