my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

映画「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」を観る

 

 

まあこっちも「大傑作!!!」と言い切れるような作品ではないんだけれども。前作のバディ的存在だった新人捜査官氏は南極にトバされたとかで一切出てこないし(おかげで前作で殉職したアイツがまるっきりの犬死だったってことに)代わりの存在とも言うべきクラウスのキャラが今ひとつ薄味だったり、途中で急に物分りが良くなったりするのも意味分からんし。(あのルックスであの能力なら活かし方はもっとあるじゃろがい!と一言物申したくなる気持ち、ご理解いただけますよね?)

 

と言いつつもやっぱりこの作品、アタクシ好きなんですよ。なんと言ってもトロール市場のあの雰囲気と言ったら!タトゥイーンのカンティーノ酒場の正常アップデート版とも言うべき異形のキグルミ達が生き生きと動き回るシーンは本当に素晴らしい。匂い立つ怪物たちの生活臭が画面から漏れ出てきそう(まあスゲー悪臭でしょうけども)そして直後のバトルシーンでの森の神の造形!完全に「もののけ姫」のシシ神オマージュ(ですよね?)ちょっと呆気なさ過ぎる倒され方とも取れるけれど、これはヘルボーイ自身が己の存在に疑問を持つ展開へのブリッジと考えればアリではないかと(贔屓目)

 

そしてやはり挙げておかねばならないのがエルフ達が集うシーンの美しさ。常に落ち葉が舞うような光景にあの色調。「確実に滅びの日へと近づいていく種族の悲しみ」のようなモノが的確に表現されている!そしてエルフそのものの造形もまた美しい。異形の美がギリギリのバランスで成立しているところに星3つ。これは後の「シェイプ・オブ・ウォーター」で更にアップデートされることになる要素でもありますなあ。この辺りの監督の好みはピーター・ジャクソンとの比較論として考えてみると面白いかも。

 

物語終盤、ラストバトルにおけるゴールデンアーミーさんたちのCG臭はちょっとキツいけど(このゼロ年代CG超大作にもれなく存在してしまうキツさを我々人類はいつの日か「味」として受け入れられるのでありましょうか)、意味のよく分からん歯車上でのアクションは一作目に引き続いての完全な「カリ城」オマージュ!しかもより直接的なヤーツ。ギレルモ・デル・トロジョン・ラセターのこの辺のセンスはやはり最高である。(ジョン・ラセター宮崎駿オマージュについてはいずれ…)

 

前作における夜の屋上での男の子との「天使たちのシーン」に比肩するといっても過言ではないであろう「バリー・マニロウ聴きながら泥酔&女々しい会話に花を咲かせまくるフリークス2名」という映画史に残るシーンの素晴らしさについてはもう敢えて書きませんが(書いてる!)そのシーンの直前に掛かるEelsがまたイイんだよねえ。

 

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そんなワケでみんなも観よう「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」