my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

ミュシャ展@国立新美術館を観る

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みんな大好きアルフォンス・ミュシャ。でもチェコ語の発音に合わせるとミュシャじゃなくてムハらしい。途端に失われるオシャレ感。とっとこムハ太郎。まあそういうことはどうでもいいのだ。

 

今回のミュシャ展の目玉であるらしい「スラヴ叙事詩」という作品、チェコの国外で見られるのは初めてのことらしい。例によって薄らボンヤリとした知識しか持ち合わせていないけど、まあ気になるので好奇心の赴くままに六本木に行ってきたのであります。

 

国立新美術館初訪問。デカいすねえ。同時に開催されていた草間彌生展に合わせて館の周囲の木々に水玉があしらわれていた。カワイイ。同時に開催できるくらいだから施設自体が相当にデカい。全体を使った展示なんてしたら一日掛かっても見終わらないような気さえしてくる。

 

で、展示。「スラヴ叙事詩」がデカい。デカ過ぎる。圧倒的。その時点で「なんじゃこりゃ」の嵐。気を取り直してじっくり観ようとするも情報量多くて頭の回転が追いつかない。コレはトンデモナイ代物ですなあ。フワッとした印象だけども、ポップな作品を連発して絶大なる人気を得ていた人が突然民族意識に目覚めて感情が爆発した挙句のコレ。単純に既存の作品のファンからしたらコレ見せられても「おお…」くらいしか言えなかったんじゃないかなあ。後の展示で制作背景を説明した映像があったけど、作風がオールドスクール過ぎて(世は正にキュビズムやらロシア構成主義のど真ん中)あまり受け入れられず、結果長くしまい込まれていたというのもちょっと納得。故に幻の大作という扱われ方だったらしい。展示されて人の目に触れられるようになったのも割と最近の話とのこと。確かにこんなデカい作品、常設で置ける場所も限られるしねえ。

 

確かにポップでオシャレでカワイイ感じとは程遠いものの、封じ込めていた思いを巨大なキャンバスに叩きつけたこの一連の作品、アタクシはむしろ一気に引き込まれてしまった。基本的に明るい画面の作品は少なく、暗く陰鬱な印象を湛えた作品が多いけど、そんな中で大抵一箇所だけスポットのように明るい光が当たる場所があるというのもつらい時期の長かったスラヴ民族の一瞬の希望のようなものを表現しているんでしょうなあ(テキトー)みんながひたすらパクりまくってるミュシャの作風とはだいぶ違うけど、見てる内に「この辺の感じ、山田章博じゃん!」とか「ナウシカ描いてた頃の宮﨑駿っぽいなあ」みたいな発見も多々あって飽きない飽きない。「みんな大好き」方面のミュシャ作品も後半に展示されているので、尚更二面性が感じられてお得感満載。「スラヴ叙事詩」は巨大が故に多少の混雑でも結構見易いという意外な利点(?)もあり。春の陽気に誘われて六本木にお出かけってのもイイと思いまっせ。オススメです。

 

www.mucha2017.jp

 

ミュシャ展

ミュシャ展