my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

NODA・MAP『足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~』@東京芸術劇場を観る

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確かに以前一度、NODA・MAPのお芝居を観たことがあるはずなんだよなあ…。でも作品名がとんと思い出せない。当時勤めてた会社の先輩が突然行けなくなったとかでチケット譲ってくれて、前情報も何もなく観に行ったらとんでもなく面白くて大感動したんだよなあ。嗚呼、これが老いというものなのだろうか。

 

www.nodamap.com

 

そんなこんなで東京芸術劇場へ行ってきました。席が花道のすぐ前で、上演中に目の前を役者さん達が通りまくるという中々の臨場感。宮沢りえさん、素敵ですなあ。

 

それはさておき、とんでもなく情報量が多くアタクシのすっかり衰えたオツムでは理解が進まないものの、お芝居を観ている間中のアタクシの頭の中には、役者という人たちには舞台の上で生きることのもどかしさみたいなモノがあるのだろうか、もしかしたら演劇をナリワイにしている人たちは演じた次の瞬間には込めた思いが蒸発して消えていって形には何も残っていない…というようなある種の諦念を抱えているのだろうか…なんてことを考えてみたりする。

 

確かに、以前見たお芝居のタイトルすら思い出せないお馬鹿さんのアタクシではございますが、何故かその日の客席の様子とか、受けた衝撃の強さみたいなものはこの歳になっても心に強く残っているワケで。だから「アンタたちマジすげーって!アタクシの心に足跡ガッツリ残ってるって!」と大声で伝えたい気分になるのであります。

 

そしてラスト、妻夫木聡演じるサルワカによるセリフ。ストレートと言えばあまりにもストレートな、胸元への豪速球の如き死んだ友人へのメッセージには本当に胸を打たれてしまった。その思いこそが足跡なんだろうし、それを受け取ってしまったアタクシにも足跡は確かに残っている。それって本当に素敵なことだよなあ…なんてことを思いつつ劇場を後にしたのでありました。