「お笑い江戸名所~歌川広景の全貌」@太田記念美術館を観る
去年、太田記念美術館で「国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃」を観て以来、浮世絵に俄然興味が湧いちゃって、国芳の解説本やらを読んだりしてみる日々を過ごしているアタクシ。またもや太田記念美術館で面白そうな企画展が開催されているということで足を運んでみたのであります。
今回は歌川広景なる謎の絵師の作品の展覧会。その名前は全く聞いたことがなかったんだけど、それもそのはず。活動期間は3年にも満たず、その後どうなったのかもよく分かっていないという文字通り謎の絵師らしい。そして作品はほぼ悪ふざけという痛快極まりない代物という。
実際の作品を観てみると、作品の9割方は広重や北斎等々のどメジャー作家の完コピに、ズッコケか下ネタのオチを加えたモノばかり。江戸時代に2ちゃんねる的掲示板があったなら「トレス疑惑」のスレが間違いなく立つレベルの完コピぶりに加えて、オチも小学生がグヒグヒ笑うレベルのLow IQ感に満ち満ちているしょうもなさ。敢えて擁護するなら当時の支配階級である武士への風刺が薄っすら見えなくもない…と言ったらちょっと言いすぎかなあ。
けれど、それ以上に作者の「こういうしょうもない原始人レベルのギャグが大好きなんです!!!」というヴァイブスをビンビンに感じるのはアタクシだけではあるまいて。
こういう突発パロディ本(中綴じコピー16P)みたいなことを、江戸の世から脈々と受け継いでいる我々日本人なのですから、同人誌即売会で有名作品のマッシュアップ的ギャグ本が出され続けているのは我が民族の業のようなものと言えるのかもしれませぬ…
とりあえず江戸文化の懐の深さに感じ入らざるを得ない素晴らしい企画展でございました。
次回の企画展もなかなか良さそうです。