my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

『屍者たちの帝国』を読む

 

 どの収録作も面白い。ある程度の縛りがあるからなのか、自分の作品以上に好き勝手な実験を繰り広げてる感がビンビンに伝わってくる。作家さんたちも書いてて楽しかったんじゃなかろうか。

 

個人的ベストは宮部みゆき『海神の裔』。インタビュー形式の語り口だから一見分かりにくいけど、これはもう屍者が出てくる「日本昔ばなし」ってことでイイんじゃないか。ラストがとてもグッと来る。

 

次点は藤井太洋『従卒トム』。『屍者の帝国』の設定を上手く活用しつつ、歴史改変モノの心地よいワンダー感も感じさせてすごく好き。

 

北原尚彦『屍者狩り大佐』の登場人物の人選(特に人を襲う虎の正体の引用元!)とかもうセンス最高。

 

挙げれば切りない程どの作品も素晴らしかった。『屍者の帝国』が好きな人は当然として、ビクトリア朝モノが好きとかキム・ニューマンドラキュラ紀元』辺りが好きな人も読んで損なし。オススメです。

 

屍者の帝国 (河出文庫)

屍者の帝国 (河出文庫)

 

 

 

ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)

ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)