my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

At The Drive In JAPAN TOUR 2017@Zepp Tokyo を観る

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17年ぶりの新作「IN.TER.A.LI.A」が思いのほか素晴らしい出来だったので、ライブも観たくなって行って来た。

 

IN.TER A.LI.A

IN.TER A.LI.A

 

 

事前にvoのセドリックのルックスの変化についてはチェック済みだったので、その点に関する違和感は無し。ただ実際の姿を目の当たりにすると、髪型と髭と体重のコンボで麻薬カルテルの大物…みたいに見えるのはアタクシだけではあるまい。でもその姿でステージを縦横無尽に動き回る姿はカッコイイの一言。特に名盤「Relationship of Command」の一曲目を飾る名曲「Arcarsenal」のイントロのシャカシャカ(←そう、アレですよ)を奏でる姿には、不覚にも時を越えた感動を感じてしまった。

 


At The Drive In - Arcarsenal (2017) Terminal 5

Relationship of Command

Relationship of Command

 

 

対してgのオマーの「大丈夫?ちゃんと食べてるの?」とアタクシの中のおばちゃんが心配になるくらいの身体の線の細さには色々とビビる。でもプレイはとにかく最高。時折見せるフリップ師とかブリューっぽいフレーズにグッとくる。このハードコアなサウンドの中にあって、特異なフレーズを忍ばせてくる匠の技にはシャッポを脱がざるを得ない。

 

もうとにかくロックバンドとしてのカッコよさが凝縮されたようなステージ。メンバー全員の立ち姿というか、佇まいそのものが絵になり過ぎるというか、もうイチイチカッコいいのです。ちょっとズルいレベル。

 

久しぶりにダイブやらクラウドサーフがひっきりなしに起こるライブを観たけれど、やはりこういうライブはいいものだ、なんて改めて思ってみたり。来て良かった。

 

アット・ザ・ドライヴ・イン @ Zepp Tokyo2017.09.21 洋楽ライブレポート|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 

 

映画「パターソン」を観る

コレはちょっと自分の中でかなり大事な作品になりそうな気がする。予告編を観た段階で、なんかよく分からんが惹かれるモノがあったんだけど。

 

paterson-movie.com

www.youtube.com

 

 

代わり映えのない日常を淡々と描写しているだけのように見えて、ミニマルな構造ゆえ微妙な差異が浮き出てくるように角度をズラす手管の素晴らしさ。そして主人公の持つ「詩人という視点」が世界の豊かさをアタクシのような凡百の徒にも気づかせてくれる。

 

アタクシ、バスの運転手ではないんだけど、ルーティーンを回すという意味では割りと似ている仕事をナリワイにしておりまして。そして実はその職業に就いているということに対して「このまま刺激のない毎日を過ごしていると、いつのまにかつまらない人間になってしまうんではないか?」みたいな漠とした不安を抱えておるのです。「じゃあユーは現在それなりに愉快な人間であるのだな?」と問われたならば、ぐぬぬと言葉を濁すしか無いのだけれど、映画を観終わった時に「その不安は仕事とは関係ないし、不安に対して抗う工夫のしどころはまだまだあるんだ」みたいな、ちょっと自分の人生が肯定されたような気分をじんわり感じてしまったのであります。

 

アタクシは、前々からこの生きづらい世の中をサヴァイヴして行くために必要なことは、すなわち知識と想像力、そしてユーモアだと思っていたのだけれど、そこにもう一つ「観察力」という要素を加えたいと思う。この映画はそれをアタクシに教えてくれる。主人公パターソン氏は詩作という世界の関わり方で、世界を豊かな色彩に変えていく。「代わり映えのない日常」なぞ基本的には存在していない。ただあるのは「日常」を変わり映えあるものにするのか、それとも無いものにするのか、その能力の有無だけなのでないかと。最早そのことに気づいてしまったので、今後の人生をご機嫌に暮らしていく為にも、その能力を伸ばす為に色々とやってみようとアタクシ思うのであります。ありがとうジャームッシュさん。

 

まあなんか柄にもなく固めなことを吐露してしまいましたが、それ以外にもこの映画「嫁さんが美人過ぎて、それだけでもう主人公にジェラス」とか「マーヴィンの可愛さは異常」とか「コインランドリーでメソッド・マンがラップしてた内容が知りたすぎる」とか色々と語りたい部分があるのも事実。だからみんなこの映画観て欲しいなあ。

 

まあそれ以上に、観終わった時に感じた嬉しさみたいな感情を記録しておきたくて、この文章をここに記し、そして唐突に終わるのであります。

 

 

パターソン

パターソン

 
ウィリアムズ詩集 (海外詩文庫)

ウィリアムズ詩集 (海外詩文庫)

 

 

 

 

sora tob sakana 定期公演 ~月面の遊覧船~ 37匹目@恵比寿CreAtoを観る

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前の週に急遽開催された定期公演はHomecomings@WWWと丸かぶりだったので断念。リベンジの意味も含めて行ってきた。

 

今回の目玉はアコースティックセット。どんな形になるのか、どの曲を演るのか、期待度MAXで恵比寿CreAtoにin。通常のセットと異なるからなのか、開演時間から10分押しでライブスタート。前回公演で初披露されたという新曲を今回は演ってくれるのか、ちょっと楽しみにしてたんだけど、残念ながらセトリに無し。無念。

 

中盤にねんがんのアコースティックセット。g・key・perの3人体制のバンドをバックに、横並びの4人がしっかりと歌を聴かせるというスタイル。いや、コレかなりいい感じですよ。元曲にあった骨格の良さというか、芯の強度のようなモノが露わになったというか。やはりsora tob sakanaの楽曲は「ポストロック」とか「エレクトロニカ」みたいな、ある種のジャーゴンで語られることで煙に巻かれていた部分があると思うのだけれど、アコースティックセットによって諸々の外装を剥いでいくと、実は「うた」として異常に高水準だったことが非常によく分かる。この試みは今後も折りに触れ続けて欲しいと思う次第。今回のアコースティックセットで披露された楽曲以外の曲たちも、このセットではどのような輝きを見せくれるのか、とても気になるしスゴく楽しみ。

 

セット終わりでギターの照井Pが「こんな難しい曲を歌えるすごい子達です」と4人を褒めていたけど、アタクシもホントそう思う。このまますくすくと成長していったら一体どんなことになってしまうのやら。いやー楽しみであります。