my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

amiinA × TOKYO FM presents 「Arch Delta Tour」@新宿ReNYを観る

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4/28のsora tob sakanaのワンマン@LIQUIDROOMを見逃したことがボディブローのように精神に効いていたようであります。あんなに絶賛されてたらそりゃ気になりますっての。後悔と共に1stアルバムと「cocoon ep」を繰り返し聴き倒す日々。うーむ、ちょいと不毛。

 

さしあたって7/17の3周年記念ワンマン@渋谷WWW Xのチケットは速攻で押さえたものの、その前に観られる機会があるのなら是非に!と思っていたら、大変おあつらえ向きなイベントを発見したという次第。それが今回の「Arch Delta Tour」。amiinAthe band apartsora tob sakanaの3マンなんてアタクシにとっちゃ神イベントですわい。

 

amiinAは一部で「Cornelius歌謡」なんて呼ばれてるらしいことは小耳に挟んでいて、音源はちょっと聴いてたのですよ。個人的にはCorneliusと言うよりは、Jonsiを聴いた時にも感じるなんだかよく分からんスケールのデカさをamiinAにも感じたりしてて、とんでもないチャレンジをアイドルちゃんにさせてる人達がいるんだなあなんてことを思ってみたり。そんなこともありつつ、いつかはライブ観てみたいと思ってたのです。the band apartは以前から好きで、一度LITEとの2マンでライブを観たことがあったり。そしてsora tob sakana。バンドセットではないけど、逆に通常のライブはどんな感じなのかを知るにはいい機会だと無理やり思うことにする。

 

ただ、懸念材料は各アクトの持ち時間が1時間あってトータル4時間近いイベントであるということ。アタクシの体力が持つのかどうか。長く観られるのは嬉しいんだけど、翌日が確実に辛そう。そんな心持ちで新宿へ向かったのであります。

 

新宿ReNYは今回が初めて。西新宿のこんな所に中々立派なハコがあるなんて全然知らんかった。整理番号はかなり遅めだったけど、ヒマだったので何となく時間通りに。入場してチェキ会やってるamiinAsora tob sakanaを見てちょっとビビる。「すぐそこにアイドルおるやんけ…(ゴクリ」と吃驚するが、努めて何でもない風を装いつつバーカウンターでビールを貰いチビチビ飲む。アイドルのライブってNegiccoしか観たことないからよく知らないけど、ライブ前に接触の機会がある方が普通なんだろうか。アイドルの人も大変だ。ステージに上る前に集中したりする時間とか中々持てなさそうだもんなあ。頭が下がります。

 

フロアで体力をなるべく消耗させないようにしつつ開演を待つ。戦いはもう始まっているのだ(おじさん的に) そして一組目、sora tob sakanaスタート。ド頭の「ribbon」で早くもちょっと泣きそうになる。この歌詞好きなんだよう。なんだかよく分からんがとにかく感動で胸がいっぱいに。正直、自分でもちょっとやべえなあとは思う。それはさておき、歌割りもリズムも複雑極まりない構成を難なく乗りこなしていくステージ上の4人が異常なまでにカッコいい。特にふうちゃんのくるくる変わる表情。アレはヤバい。web上の画像やらyoutubeで観た時は「子供だ…すごく子供だ…」なんて思ってたけど、いやいやライブだとスゲーカッコいいじゃないスか!ルックスはGREEN DA・KA・RAのCMの女の子が大きくなったような、中学時代の能年玲奈のような、ようするにそういう感じ。これは将来が大変楽しみでございますなあ。そしてれいちゃん。ちょっとビックリするくらいの美人さんじゃないですか。妻夫木聡の奥様ことマイコの幼き日を見たような気がするのはアタクシだけでしょうか(←多分そう)

 

1時間のライブでラスト近くの「広告の街」がやはり個人的にはハイライト。カッコよすぎる。7月のワンマンへの期待がブチ上がる。うーむ、ワンマン前日のピエールフェスも行きたいが、さすがに仕事が忙しくて無理なんだよなあ。

 

若干のインターバルを挟みつつ、続いてthe band apart。ライブを観るのは久しぶりだけど、相変わらずスムースでカッコいい。そしてプレイはカッコいいのにルックスは永遠の大学8年生みたいなベース原昌和氏。もう最高です。その原氏、MCで「声がカスカスでカヒミ・カリィみたい」とか「さっきウケたんで盛りましたけど、ホントはもう少し声出ます」とかイチイチ良すぎる。その上でベースプレイは超絶カッコいいんだからそりゃ堪らんよな。

 

正直言うとアイドル二組に挟まれて客受けは厳しいのかな?なんて事前には思ってたんだけど、そんな雰囲気とは真逆でめっちゃウケており、そのフロアのヴァイブスに乗せられてバンドがさらに高みに登っていくという正のスパイラルを久しぶりに感じてしまった。そしてやはりバンド自身もそう感じていたらしく、新井氏のMCが感動的だった。

新井氏の正面数mの位置でこのMCを聞いていたアタクシは、この発言にお世辞はなかったと断言できる。ネギヲタのアタクシ大歓喜。こんなヴァイブスのライブを体感できるなんてアタクシ幸せモノですよ。いやでもこの日のフロア全体に横溢する「良いものならどんどん楽しんじゃうぞ」みたいな空気、素晴らしかったなあ。これはamiinAヲタさんが元来持ってるモノなんだろうか。そうなら最高だよね。

 

そんなバンアパの素晴らしいライブに続いて真打ちamiinA登場。実際ライブの感じはどんなもんかなあ?と思ってたら、こちらもまた中々にやりおるワケです。歌の良し悪しなんてそんなに判断できる程分かっちゃいないけど、少なくとも「音源とちがーう」みたいなネガティブ感は全くのゼロ。堂々としたステージ上の二人の姿を観てまたもや感動の嵐が吹き荒れる。と思ったらMCでは「子供だ…」みたいになるので、そのギャップにヒトはヤラれちゃうんでしょうなあ。音的にも、そのJonsi感はライブでも健在で確かにこりゃカッコいい。何なんでしょうこの無闇矢鱈にデカいスケール感。こっちもいずれバンドセットで演ってくれないかなあ。

 

フロアの方もモッシュピットができたり色々と曲によって決まっている(であろう)ムーブがアイドルのそれというよりパンク/ラウド系のバンドに近く、そういうお客さんがこの界隈に流れてきているのか、単にムーブを輸入してきているだけなのかは分からんけども、とにかくスゲー盛り上がってるのはビンビンに伝わってくる。今のところはフロアの住み分けは上手く出来ているみたい。このままどんどんデカくなっていって欲しいなあ。

 

というワケで4時間近いライブだったけど、意外な程身体へのダメージを感じずに済んだのは素晴らしいアクトとオーディエンスの産んだヴァイブスの賜物、ということにしておきたい。それぞれのワンマンにも足を運びたくなってきた。

 

で、翌日の仕事に備えてスッと会場を後にするアタクシなのでした。おしまい。

 

 

 

佐藤亜紀「スウィングしなけりゃ意味がない」を読む

www.kadokawa.co.jp

 1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、”スウィング(ジャズ)”だ。敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた……。

 

 これは1940年代のハンブルグの話なのか、それとも近未来の日本の話なのか…

 

遠くから巨大な何かがゆっくりとやってくる。巨大なそれは、間違いなく自分たちを完璧なまでに轢き殺していくだろう。それに抗うことはもう絶対に不可能だ。でも、それがやってくるまでにはもう少し猶予がある。その猶予の間、何をする?

 

この小説に通底する「醒めつつ熱狂している」みたいな感覚、すごく良いと思う。この感覚を「諦め」と表現する人もいるのかもしれないけど、個人的にはちょっとそこには違いがあるんじゃないかと思う…んだけど、上手く言語化できない。

 

最近、SNS上で色んな意見を見る度に「どうしてそんなに極端な方へ針が振れてしまうんだろう」と思うことが多い。それってざっくり言ってしまえば、今の空気が「躁」な方向にあるってことなんだと思う。どうして「躁」になるのか。アタクシはそこに、巨大な何かの影を幻視する。その影にビビりながら、さてどうする?SNS上で八百万通りの正義を振りかざして何かをした気になる?OK、それも一つの選択だ。choice is yours。

 

アタクシは…そうだな、どうしようか。少なくとも考えるのを止めるのはやめておくよ。

 

 

…なんていう妄想が捗るすごく面白い小説です。マジオススメ。やや強引だけど、片渕須直監督の映画「この世界の片隅に」にも通じる点があるようにも読める。やっぱ戦争イクナイ。読み終えてふと思い出したのはスマパンのこの曲のことでした。

 


The Smashing Pumpkins - 1979

 

「醒めつつ熱狂する」という感覚を見事なまでに具現化してるとアタクシ思うちょります。

 

纏まらないけど、この本を読んだ後の気分はこんな感じです。

スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

 

 

7月の予定

7月はアタクシ忙しいのですよ…仕事が…。嗚呼、忙しいのキライ。

 

それはさておき、今月の予定をチェックしていきますわよー

 

 

忙しい故、厳選した内容でございます。ホントはTWEEDEESの自主企画とか行きたかったんだけどなあ…無念。

 

Homecomingsは念願のライブ初観戦であります。去年の年末のワンマンも仕事と被っちゃって断念してるからマジでねんがん叶ったぞ!ちょうど「SYMPHONY ep」のリリース日だけど、新曲聴けるのかマジ楽しみ。

 

Cornelius、こっちも念願のライブ初観戦。実はもう10数年前に別のバンドを観に渋谷のクアトロに行ったら、小山田氏を初め渋谷系のお歴々を目撃してビビったのもいい思い出。いや~楽しみ。でも現時点で新譜聴いてませんタハー

 

sora tob sakana2連発、これはもう今観とかないとダメなやつでしょ。ちょうど仕事が死ぬ程忙しい日程とばっちり被ってしまったので、バンドセットで出演するという7/16のピエールフェスは泣く泣く断念。でもバンドセットのオサカナはいずれ観たいのう。代わりに7/22リリースのLIQUIDROOMのワンマンライブDVDは絶対買います。

sora tob sakana 単独公演 月面の音楽隊 2017.4.30 at LIQUIDROOM [DVD]
 

 

立川談笑一門会はもう毎月の恒例行事。6月は笑んさんがかなり良かったので、7月の錦笑さんにはちょっと期待しております。

 

本当は7/3の橘家圓太郎師匠の独演会(featuring 春風亭昇々!) とか、7/20のNegicco@品川プリンス クラブeXとか、同日のZAZEN BOYSLIQUIDROOMとか、行きたいのは色々とあるんだけど、泣く泣く断念。まさに断腸の思い。しかし、全ては生きていくためなのです。人生とは理不尽なものであります。致し方なし。

 

とりあえず上記以外だとオサカナちゃんを観た後にスッと「渋谷らくご」行ければ行くかも。あとは気になる展覧会に忙しい合間を縫って出没予定。

 

www.sjnk-museum.org

 

shinkai2017.jp

 

現場からは以上です。

 

 

 

イキウメ「天の敵」@東京芸術劇場シアターイーストを観る

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www.ikiume.jp

 ■ジャーナリストの寺泊 満(安井順平)は、菜食の人気料理家、橋本和夫(浜田信也)に取材を申し込む。
きっかけは妻の優子(太田緑ロランス)だった。
寺泊は難病を抱えており、優子は彼の為に橋本が提唱する食餌療法を学んでいた。

当の寺泊は健康志向とは真逆の人間だが、薬害や健康食品詐欺、疑似科学や偽医療の取材経験も多く興味があった。
優子がのめり込む橋本を調べていく内に、戦前に食餌療法を提唱していた長谷川卯太郎(松澤 傑)という医師を知る。

寺泊は長谷川と橋本の容姿がよく似ていたことに興味を持ち、ある仮説を立てて取材に望んだ。
寺泊は、プロフィールに謎の多い橋本は長谷川卯太郎の孫で、菜食のルーツはそこにあると考えた。
橋本はそれを聞いて否定した。
実は橋本は偽名で、自分は長谷川卯太郎本人だと言う。

 いやもう、粗筋を読んだ時に感じた「キテる!」という予感は、やはり間違っていなかった。

 

冒頭の「3秒クッキング」(←劇中にそういう場面があるのです)、実際に料理をし始めて劇場内に美味しそうな匂いが漂い始めたところで「ここから一体どうなっていくんだ?!」と思ったら、そこからは期せずして寿命という概念を超越してしまった男の一代記が自身によって語られていく。

 

食べること…健康…引いては生きることとは…? 話が進めば進むほど、「生」という問いに関わってしまったそれぞれの登場人物にとって幸せな状態とは何だったのかがよく分からなくなっていく。結局のところ、ほぼ全員不幸な気さえしてくる。

(敢えて言うなら時枝が自分の思想に殉じたという点で幸せなのかも)

 

自分も「気が付けば人生も後半のページ」状態に突入しており、今後の生き方についてはボンヤリながらも考えなくはないのだけれど、この劇を観て増々分からなくなってしまった。でも考え続けなければならないんだろうなあ。そして最後は鰻を美味しく食べられるくらいの身体をできるだけ長く保っていきたい…なんてことを考えるのであります。

 

 

シベリア少女鉄道「たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す」@赤坂RED/THEATERを観る

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とりあえずタイトルが長い。それはさておき、前回公演にはとにかく衝撃を受けて周りの人に「アレはヤバい」みたいなことを吹聴して回ったのはいい思い出。そして今回も期待を軽く上回る面白さでございました。

 

ベタな物語が静かにかつゆっくりと語られつつ、作者のニヤニヤ笑いをうっすら感じさせる悪意の種がそこかしこに蒔かれていく前半部。そしてその種が一気に発芽して世界がバグり、完全な地獄を現出せしめる後半部。特筆すべきはこの地獄が抱腹絶倒と共に有るという、より救いのない地獄であるということ。いやあもう堪らんですよ。完全にフラグ管理が破綻したゲーム世界というか、特に最終盤はそのテの仕事をしている人にとっては爆笑しつつ号泣するというか、ワケの分からん感情に脳みそを支配されちゃうんじゃないかなあ。

 

毎度のことながら、こんなメンドくさい脚本をよく纏められるなと驚きつつ、それを実際に演じてみせる役者陣にはシャッポを脱ぐ他ない。ラストのピタゴラスイッチ的展開にハラハラしつつ、その後にやってくる「しょうもな!」という感情とカタルシス。こんなの他では絶対に観られないと思う。最高です。