my little underground

世を儚む地下生活者が珍文・奇文の類いを日々量産しています

「岩佐又兵衛と源氏絵 『古典』への挑戦」@出光美術館を観る

夜からのイベントを観に行く休日は昼をどう過ごそうかいつも迷うものですが、皆様に於かれましてはいかがでございましょうか。

 

そんなワケで、最近そんな時間があると都内の美術館に出没しているアタクシでございますが、今回は出光美術館に行って参りました。ココに来るのは「大仙厓展」以来2度目でございます。

 

www.tokyoartbeat.com

 

岩佐又兵衛に関しては浮世絵の成立に大きく関わってるらしいことと、荒木村重の妾腹らしいということくらいしか知らず、作品観ても「あんまり浮世絵っぽくないなあ」なんつー感想しかない状態。とりあえず作品については、たまたま事前に辻惟雄の「奇想の系譜」を読んでいたので成る程感はあるものの、個人的にはあまり好みの方向ではなかったのでありました。

 

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

 

 

とは言え、源氏絵というジャンルがあることすら知らなかったアタクシが観ても金箔の雲が漂う向こう側に展開される絢爛たる平安絵巻というのは中々に壮観でありまして、いにしえの文学少女たちはこれを観てウットリしてたであろうことは想像に難くないというもの。さらに言えばコレって最初期の他メディア展開とも言えるワケで、そうなると「コレジャナイ」とか「原作の光源氏様はもっと美しいハズ!(怒)」とか言ってた人たちもそれなりに居たのかなあ…とか想像するとちょいと愉快でございます。

 

今回はいまいちピンと来なかったけれど、出自も含めて岩佐又兵衛には興味が出てきたので、別の作品を観る機会があったら足を運んでみようと思います。

 

 

水上で雪と戯れ、温泉でグターっとするの巻

先日もちょいと触れましたがアタクシ、年末年始が一年の中で最も忙しくなるという仕事をナリワイにしておりまして。今年もその大嵐の時期をどうにかこうにかやり過ごすことに成功したので、ちょっと遅い冬休みというか骨休めに水上温泉へ行ってきたのであります。

 

とは言え根っからの貧乏性ゆえ、ただ温泉に行くだけでは勿体無いということで、ついでにスノーシューのガイドツアーに参加してみたのです。

 

ツアーはジャグスポーツさん主催のツアーに参加してみましたよ。月曜だったのでガイドさん一人の参加者アタクシ一人というマンツーマン体制でしたが(笑)

www.j-snowshoe.net

コレが滅法面白くて。詳しくはアタクシのヤマレコに記録を載っけてみたので、お暇なら是非。

 

www.yamareco.com

 

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雪がゴンゴン降る中、薄っすらとしか残っていないトレースをひたすらラッセルして行き着いた洞窟に氷筍を見る、なんつー中々に幻想的な体験ができましたよ。

 

んでツアーも無事に終わり、ガイドさんのご厚意で宿まで送り届けてもらい早速温泉に入りに行ったのだけど、まあこれが本当に良かった。雪景色を見ながら露天風呂でボンヤリするってのは極楽ですなあ。月・火と平日2日間の旅だったこともあって、適度に空いてて、それがまたちょっとした侘しさみたいなものを醸し出してるのもまた良くて。

 

性格的に予定をギチギチに入れてしまいがちなのを、今回はグッとこらえてスノーシューツアー以外はテキトーに帰るだけの予定にしたのも大正解。結局朝風呂含めて3回ほど温泉を堪能し、骨の髄までのほほんと出来たのでありました。

 

ただまあ、あえて言うなら温泉旅館の館内がちょっと寒かったのは辛かったかな…

 

夕飯は付いてない宿泊プランにしたので、外に食べに出たんだけど、温泉街が予想以上に寂れててちょっと吃驚。だけどアタクシ的にはそれがむしろプラスポイントでございましたよ。結局、一人旅の場合は寂しい所に行く方が賑やかなところより落ち着きますって。

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こんな景色の中を一人歩いてると、なんかちょっとイイ感じです。

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雪は2日間とも止むことはなくひたすら降り続けていて、おかげで帰りに駅へ向かう途中に何度も滑って転びそうになるというオマケが付いたけど、それ以上に楽しい旅になったような気がヒシヒシと。年一くらいで寂れた温泉宿でボンヤリする旅でもしようと心に固く誓うアタクシなのでありました。

 

 

「お笑い江戸名所~歌川広景の全貌」@太田記念美術館を観る

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去年、太田記念美術館で「国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃」を観て以来、浮世絵に俄然興味が湧いちゃって、国芳の解説本やらを読んだりしてみる日々を過ごしているアタクシ。またもや太田記念美術館で面白そうな企画展が開催されているということで足を運んでみたのであります。

 

www.ukiyoe-ota-muse.jp

 

今回は歌川広景なる謎の絵師の作品の展覧会。その名前は全く聞いたことがなかったんだけど、それもそのはず。活動期間は3年にも満たず、その後どうなったのかもよく分かっていないという文字通り謎の絵師らしい。そして作品はほぼ悪ふざけという痛快極まりない代物という。

 

実際の作品を観てみると、作品の9割方は広重や北斎等々のどメジャー作家の完コピに、ズッコケか下ネタのオチを加えたモノばかり。江戸時代に2ちゃんねる的掲示板があったなら「トレス疑惑」のスレが間違いなく立つレベルの完コピぶりに加えて、オチも小学生がグヒグヒ笑うレベルのLow IQ感に満ち満ちているしょうもなさ。敢えて擁護するなら当時の支配階級である武士への風刺が薄っすら見えなくもない…と言ったらちょっと言いすぎかなあ。

 

けれど、それ以上に作者の「こういうしょうもない原始人レベルのギャグが大好きなんです!!!」というヴァイブスをビンビンに感じるのはアタクシだけではあるまいて。

 

こういう突発パロディ本(中綴じコピー16P)みたいなことを、江戸の世から脈々と受け継いでいる我々日本人なのですから、同人誌即売会で有名作品のマッシュアップ的ギャグ本が出され続けているのは我が民族の業のようなものと言えるのかもしれませぬ…

 

とりあえず江戸文化の懐の深さに感じ入らざるを得ない素晴らしい企画展でございました。

 

www.ukiyoe-ota-muse.jp

 

次回の企画展もなかなか良さそうです。

 

2月の予定

忙しいやら反動で過剰にボンヤリするやらで、あっという間に1月が終わって行こうとしておりますなあ。というワケで2月の予定なぞをツラツラと書き出してみることにする。

 

  • 2/2 NODA・MAP 第21回公演 『足跡姫』~時代錯誤冬幽霊~
  • 2/4 LITE "Cubic" Tour 2017@渋谷WWW X
  • 2/5 Happy Birthday TWEEDEES Vol.2@高円寺High
  • 2/13 立川談笑一門会@座・高円寺2
  • 2/16 M&Oplaysプロデュース「皆、シンデレラがやりたい。」@本多劇場
  • 2/25 James Blake Japan Tour 2017@東京国際フォーラム ホールA
  • 2/28 『くるりの20回転』リリース記念ツアー<チミの名は。>@Zepp DiverCity 東京

 

2月はライブが4本・演劇が2本に落語が1本。改めて見ると結構忙しいなあコレ。

 

さらに加えて今月の「渋谷らくご」は立川吉笑さんと隅田川馬石師匠目当てに2/10の20:00の回と神田松之丞さん目当てに2/14の20:00の回に行っちゃおうかと考え中。2/21には馬石師匠の独演会「奮闘馬石の会」もあるし、コレも観たいのう。

 

NODA・MAPはやっぱり観ておきたいじゃないですか演劇初心者としては。実は10年以上前に一度観てて結構な衝撃を受けたんだけど、タイトルとか覚えてないんだよなあw

 

LITEは大好きなバンドなので。ようやくワンマンが観られるので嬉しいナリ。ゲストにタブゾンビさんとか来ないかしら*1ワクワク

 

TWEEDEESは去年の8月にワンマンを観て以来。今回は結成2周年記念ということでシークレットゲストが出るらしい。誰?誰なの?

 

毎月恒例の立川談笑一門会、1月の会は何故か日程を一日間違えるという痛恨のミスで見逃すという(;´д`)トホホ… 2月は万難を排して観に行く所存。いつもの武蔵野公会堂じゃなくて座・高円寺での開催だから間違えないようにしないと。

 

皆、シンデレラがやりたい。」は根本宗子の新作。毎回ハズレ無しで面白いので今回も期待大。前回の「夢と希望の先」はホント面白かったからなあ。

 

James Blakeはとにかく1stに衝撃を受けて、しばらくそればっかり聴いてた記憶が。でも2ndと3rdはそんなに好きじゃないという(*ノω・*)テヘ ハコが国際フォーラムなので、いい音を座ってじっくり聴けそうなので楽しみであります。

 

くるりは実はデビュー当時から大好きだったんだけど、ライブは観たことがないのですわ。「宿はなし」演ってくれないかなあ。

 

あとはヒマな時間があったら下記の展覧会を観にくかも。

 

www.tokyoartbeat.com

kasuga2017.jp

 

そんなこんなで2月も色々とやり過ごしていくぞ!

 

 

 

*1:o(´∀`)o

Negiccoライブハウスツアーと映画「この世界の片隅に」と豊島社長退任と

先日発表されたNegiccoのライブハウスツアー「SPRING 2017 TOUR~ライブハウスのネギ~」、勢いで新潟LOTSとZepp DiverCity東京の2枚を押さえてしまった。まだ休みも確定してないのに。でもやっぱアレですよ、一度くらいはホームゲーム観たいじゃないですか。アウェイ民としては、さ。そんな気分です。

 

新潟は母方の実家があるので、子供のころは年一くらいで訪れてたような記憶があるんだけど、もう少なくとも20年以上は行ってないような。んで、どうせ新潟行くならついでにビッグスワンでアルビの試合でも観れないかなあと思って調べてみたけれど、残念ながらその日はJ1の開催日では無かった模様。ぐぬぬ。こうなったら無理矢理にでも北信越リーグの試合でも観に行ってやろうかしら。

 

 

映画「この世界の片隅に」去年観て打ちのめされたんだけど、近所のシネコンでも上映が始まったので二回目を観てきた。

 

しかし…二回観てもなんというか自分の思いを上手く言語化出来ないでいる。一言「面白い」というのはちょっと違うんだよなあ。アタクシはちょっと前からTwitterだと思いが上手く伝わらないような気がしてて、だったら字数気にせず書けるBlogに移行してみようかな…と思ったところがあるんだけど、結局字数とか関係なく書けないものは書けないという、己のお馬鹿さん加減を否応なく再認識して独り部屋の隅で呻く日々であります。嗚呼、頭が良くなりたい。そんなことを考える四十代ってどうですか?

 

それはさておき、今後折に触れて観返す大事な作品になったことは間違いないと思う。片淵監督初め作品に関わったスタッフの皆様、素晴らしい作品をありがとうございます。

 

 

残念ながら発表されてしまった愛媛FC豊島社長の退任。木山さんの退任と同じタイミングで発表されていたらショック死してしまいかねなかったので、ある意味年も明けたこのタイミングで良かった…ような気もする。

 

以前もちょっと書いたが、愛媛FC が現在も存続できているのは豊島社長のお力が大きいのではないかと思う。アタクシが足を運ぶ関東アウェイの試合でもオレンジ色のハチマキを締めた社長のお姿をよく拝見していて、その思いの強さにいつも感動していたのだけれど、他のクラブでこういうことをされる社長さんってのはあんまりいないんじゃないだろうか。(勿論、裏でお仕事はされてるんだろうけど)

 

今季が始動してから、主にfacebook上で広報の方が積極的な情報発信をされていて大変素晴らしいのだけれど、こういう動きが出始めたのはクラブ全体がいい方向へ回り始めた証左であると思いたい。勿論その礎を築いたのは木山さんであり豊島社長であり、その思いに感化された人たちなんだろうと思う。

 

豊島社長には新天地でのご活躍を遠く関東の空の下から期待しております。

 

 

映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』を観る

なにやらちょっと話題になってると風の噂で聞きまして、んじゃちょっくら都内の劇場まで観に行こうかなあ…なんて考えてたら近所のシネコンでの上映が始まったので、これ幸いと早速観に行って参りました。

eyesky.jp

 

事前の 薄らボンヤリとした情報では「ドローン操縦者の苦悩」みたいなストーリーなのかなと思ってたら、いい意味で裏切られましたわ。これは大変素晴らしい「会議室映画」だ!

 

「会議室映画」については細かく定義しませんけど、字面的に伝わるでしょ?2016年には「シン・ゴジラ」という会議室映画の傑作がありましたけど、まあようするにああいう感じの映画ですよ。

 

事件の現場であるナイロビは言うに及ばず、作戦指揮を執るイギリス某所、政府関係者の集まるロンドン、ドローン操縦者のいるラスベガス、画像解析班のいるハワイ等々…世界中のエアコンの効いた会議室での出来事が等価値に進んでいく。

 

始めは捕獲か殺害かで揉めていたはずが、気づくと周囲への影響の確率が50%以下か否かという数字だけが問題にされているという状態へシームレスに移行している事実。なんかアタクシこれ見てゾッとしてしまいましたわ。ただ、想像するにこういう場面は戦争末期の大本営では日常の出来事だったんだろうなあ…なんてことをボンヤリ考えつつ、この感じに既視感ががあるのは負け戦が確定的な状況下における営業会議ってこんな感じだよなあ、なんてイやなことを思い出してみたり。「パト2」の後藤隊長もこんなこと言ってましたよ。

 

戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ。

会議室では「パン売りの少女」のような現実は、法解釈なる言葉の前に存在さえ許されないということなんでしょうねえ。

 

とは言えドローン操縦者のギリギリの良心みたいなものに少しだけ希望を見出すアタクシはロマンチストに過ぎるでしょうか。

 

会議室映画的テイスト以外にも、ターゲットが潜む家に侵入するシークエンスはプレ「攻殻機動隊」感があったりと、異常なまでの緊張感と共にまだまだ見どころ満載。去年亡くなったアラン・リックマンに捧げられた本作、ルックは多少地味だけどそれ以上に緊張感の持続のさせ方が上手くて飽きさせないので、マジおすすめでございます。

 

最後に「パト2」の荒川の台詞を。本作も「パト2」も「モニタの向こうの戦争」というテーマではかなり近い作品と言えますな。

この街では誰もが神様みたいなもんさ。いながらにしてその目で見、その手で触れることのできぬあらゆる現実を知る。何一つしない神様だ。神がやらなきゃ人がやる。いずれ分かるさ。俺達が奴に追い付けなければな。

 

www.youtube.com